「パパ、わかった!たしざんはもうだいじょうぶ!」
先日、くりあがりのある足し算を克服し、自信満々の笑顔を見せてくれた小学1年生の娘。 ノートにしっかりと計算過程を書くことで、「数字の仕組み」がストンと腑に落ちたようでした。
「よしよし、この調子なら引き算も楽勝だな」
なんて、甘い考えを抱いていた自分を殴ってやりたい。
そう、算数の壁は次から次へとやってくるのです。 次に立ちはだかったのは、「くりさがりのある引き算」。
これまた、娘の小さな頭の中を大混乱に陥れるには十分すぎる強敵でした。
13引く8は…「わからない!」涙目の娘
「13ひく8は?」
机に向かって問題を読み上げた瞬間、娘の鉛筆が止まりました。 さっきまでの自信はどこへやら。眉間にシワを寄せ、指を折り曲げたり伸ばしたり。
「…指がたりないもん」
そう言って、みるみるうちに瞳が潤んでいきます。 ここでお決まりの「パニックモード」発動です。
「もうやだ!わかんない!引き算きらい!」
こうなると、言葉でいくら「10から引くんだよ」と説明しても、右から左へ抜けていくだけ。 数字という抽象的な記号が、娘の中で暴れまわっている状態です。
僕たち大人にとっては当たり前の「13-8=5」も、1年生にとっては「未知の呪文」。 ここで怒ったり焦らせたりしては逆効果。私は作戦を変更することにしました。
我が家の「13人の住人」登場
「よし、一回えんぴつを置こう。今日はスペシャルゲストを呼ぼうか」
僕が取り出したのは、娘が大切にしているクマとウサギの人形たち。 我が家では彼らも立派な家族の一員としてカウントされています。
「いい? ここにクマさんとウサギさん、あわせて13人います」 「うん」 「いま、お家のなかにみんなで集まって遊んでます」
テーブルの上に、ずらりと並ぶ13人の人形たち。 圧倒的な視覚情報。これなら「足りない」なんて言わせない。
「時計を見てごらん。もう5時だね。チャイムが鳴りました」 「キーンコーンカーンコーン」 「そしたら、8人のお友達がお家に帰らなきゃいけません。さあ、どうやって帰ってもらおうか?」
ここからが、パパ塾の本番です。 今回は、この2つの方法を、人形で実演してみることにしました。
作戦A:減減法(引いて、引く)
「13から、まず3人帰って、あとから5人帰る」
- まず、13人(10人と3人)のうち、端数の3人が先にバイバイして帰ります。(これで残り10人)
- 「8人帰らなきゃいけないから、あと5人帰らなきゃだね」
- 残った10人の中から、5人が帰ります。
- 「お家に残っているのは何人?」
- 「…5人?」
数式で書くと(13 – 3)- 5 = 5という方法です。 でも、娘の反応はいまいち。 「なんで5人かえるの? 8人かえるんじゃないの?」 うーん、確かに。「8を3と5に分ける」という工程が、直感的に分かりにくいのかもしれません。
作戦B:減加法(引いて、足す)
「10人の中から8人帰って、残りを足す」
次は、娘が好きそうな「チーム分け」作戦です。
- 「じゃあ今度は、13人を『10人のチーム』と『3人のチーム』に分けよう」
- 「8人帰るんだけど、3人のチームからだと足りないよね?」
- 「うん」
- 「だから、10人のチームから8人に『バイバイ』してもらおう」
- 娘が10体の人形の中から、8体をどかします。
- 「10人のチーム、何人残った?」
- 「2人!」
- 「そうだね。じゃあ、もともと残っていた3人のチームと合わせると?」
- 「2人と3人で…5人!」
数式で書くと 10 – 8 + 3 = 5。 いわゆる「減加法(げんかほう)」と呼ばれるやり方です。
娘の目がキラリと輝きました。 「こっちのほうがわかりやすい! 10個から8個とるほうがかんたん!」
どうやら娘にとっては、「引く」というネガティブな作業を一回で終わらせ、最後に「足す(合体する)」というポジティブな作業で終わるこの方法がしっくり来たようです。
それからは、ひたすら人形遊び。 「15人います、9人かえります」「12人います、7人かえります」 キャッキャと言いながら、娘は「10のまとまりからドカッと引く」感覚を掴んでいきました。
お風呂での「暗算チャレンジ」と新たな壁
「今日は完璧だったね!」
その夜、一緒にお風呂に入りながら、僕は調子に乗ってしまいました。 リラックスした雰囲気の中、ふと復習をしてみたくなったのです。
「さーて、今日の復習! 13引く8は?」
湯船に浸かった娘が、天井を見上げます。 人形はありません。紙も鉛筆もありません。
「えっと……13から…8を……えっと……」 「(ん? さっきできてたぞ?)」 「……わかんない」
首をかしげる娘。お湯の音だけがチャプンと響きます。
やはり、大人は頭の中で無意識に数字を操作できますが、子供にとって「具体物(人形)」なしの「暗算」は、想像以上にハードルが高いのです。 頭の中に「10のブロック」と「端数のブロック」を思い浮かべ、それを動かすという作業は、非常に高度な脳内処理なんですね。
「書けばできる」「物があればできる」 今はそれで十分100点満点なのですが、親としては「じゃあ、どうすれば暗算できるようになるの?」と欲が出てしまうのも事実。
そこで、お風呂上がりにいろいろ調べて、今後の「暗算トレーニング」の作戦を練ってみました。
【パパの備忘録】暗算への架け橋となる3つのステップ
今回の経験で痛感したのは、「具体物(人形)→暗算」のジャンプは高すぎるということ。 この間に、いくつかの階段を作ってあげる必要がありそうです。
もし、同じように「書けばできるけど暗算は苦手」なお子さんがいたら、ぜひ試してみてください。
1. 「さくらんぼ計算」を「エアー」で書く
いきなり頭の中だけで計算させるのではなく、空中に指で式を書かせます。 「13の下に、さくらんぼ(分解図)を書いてごらん?」 13を「10」と「3」に分けるイメージを、指の動きで補強します。 「体を使って覚える」というのは、意外と効果的です。
2. 「10の補数(お友達)」を瞬殺できるようにする
減加法(10-8+3)の肝は、「10から8引いたら2」が瞬時に出るかどうかにかかっています。 ・1と9 ・2と8 ・3と7 ・4と6 ・5と5 これらが「反射神経レベル」で出てくるようになると、暗算のスピードが劇的に上がります。お風呂タイムは、計算問題よりもこの「10のお友達クイズ」に徹するのが良さそうです。
3. 答えの「一の位」だけを意識させる
例えば「13-8」なら、 「10から8引いて(2)、それに3を足す」 この「2+3」の部分だけをクイズにします。 「10から8引くと?(2)」「じゃあその2と、残ってる3で?(5)」 と、プロセスを分解して質問してあげることで、脳内処理の負担を減らしてあげます。
今日は人形たちのおかげで、「引き算の仕組み」自体は理解できました。 娘が選んだ「10から引いて、残りを足す(減加法)」をベースに、焦らずじっくり、頭の中に「エアそろばん」を作っていこうと思います。
🍎 親子で特訓! くりさがりの引き算ドリル🍏
今回は「ひく数」がいろいろ変わるよ! パパ・ママと一緒に、さくらんぼ計算(10といくつ)で解いてみよう。
【レベル1:計算チャレンジ】
まずは基本の計算! 10のまとまりをイメージしてね。
① 11 - 2 =
② 12 - 4 =
③ 13 - 7 =
④ 14 - 8 =
⑤ 15 - 6 =
⑥ 16 - 7 =
⑦ 17 - 8 =
【レベル2:文章もんだい】
頭の中で絵を描いて考えてみてね。
⑧ 図書室に 本が 14さつ ありました。 みんなが 5さつ 借りました。 本棚には、あと 何さつ 残っているでしょうか?
⑨ 赤い花と 白い花が 合わせて 12本 咲いています。 そのうち、赤い花は 3本 です。 白い花は 何本 あるでしょうか?
【レベルMAX:ひっかけ問題】
最後はよ〜く読んで考えてね!
⑩ 13人の 子どもが おにごっこを しています。 今、オニは 1人 です。 オニじゃない 子は 何人 いるでしょうか?
🔻 こたえあわせ
① 9 (10から2引いて8、8と1で9) ② 8 (10から4引いて6、6と2で8) ③ 6 (10から7引いて3、3と3で6) ④ 6 (10から8引いて2、2と4で6) ⑤ 9 (10から6引いて4、4と5で9) ⑥ 9 (10から7引いて3、3と6で9) ⑦ 9 (10から8引いて2、2と7で9)
⑧ 9さつ (しき:14 - 5 = 9) ⑨ 9本 (しき:12 - 3 = 9)
⑩ 12人 (解説:これは引き算の問題だよ! 全員で13人。そのうち1人がオニだから… しき:13 - 1 = 12)


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