子どもの縄跳びが続かない?「ドスン着地」を変えた静かな着地のコツ【理学療法士パパ】

縄跳び

「とうっ! とうっ!」

縄は回っている。

タイミングも、前よりずっと合ってきた。

ところが、娘が着地するたびに、

ドスン!
ドスン!

と、なかなか豪快な音が響きます。

我が家の小学2年生の娘と縄跳びを練習していたときのことです。

これまでの練習で、縄を回してジャンプするところまでは少しずつできるようになってきました。

でも、連続して跳ぼうとすると、どうも動きが重い。

そこで私が、

「着地するとき、ドスンって音がしているの分かる?」

と聞いてみると、

娘:「うん! がんばって着地してる証拠だよ!」

なるほど。

娘にとって「大きな音=頑張っている」だったようです。

私は普段、理学療法士として人の動きを見る仕事をしています。

ところが今回も、最初から正解にたどり着いたわけではありません。

むしろ最初の声かけは、見事に失敗しました。

最初に考えたのは「体幹がうまく使えていない?」

ドスンドスンという音を聞いた私は最初、

「身体全体が少し硬い着地になっているのかな?」

と考えました。

ジャンプして着地すると、地面から身体に力が返ってきます。

8〜16歳の子ども・思春期を対象にした2026年の研究でも、連続ジャンプでは体重の約3倍前後から3倍台のピーク垂直床反力が測定されています。

ただし、この数字は縄跳びで常に同じという意味ではありません。

ジャンプの高さ、跳び方、身体の成長などによって変わります。

そして、その力を受け止めるのは「腹筋だけ」ではありません。

着地では、

足首、膝、股関節、体幹、筋肉や腱など、

身体全体が関わります。

さらに、子どもの着地方法は大人とまったく同じではなく、成長とともに力の受け止め方も変化していくことが報告されています。

……なのですが。

このときの私は、まず「体幹」に目が向きました。

「お腹の壁を作ろう!」と言ってみた結果……

私が娘に言ったのは、

パパ:「ちょっとお腹に力を入れて、お腹に壁を作る感じで跳んでみよう!」

すると娘は、

娘:「お腹の壁?……フンッ!」

思いっきり息を止めました。

パパ:「いやいや、息は止めなくていいから(笑)」

専門知識を子ども向けに言い換えたつもりでした。

でも、こちらが思っていた動きと、娘が受け取ったイメージは違いました。

ここで一度考え直しました。

理学療法士として筋肉の名前や身体の仕組みを知っていても、それをそのまま伝えれば子どもの動きが変わるわけではありません。

むしろ、

「どう身体を使うか」より「何をしてみるか」

の方が分かりやすいことがあります。

改めて娘を見ると、気になったのは「音」だった

もう一度、娘の縄跳びをそのまま見ました。

ドスン。

ドスン。

気になっているのは、お腹の力そのものではありません。

私が実際に確認できているのは、

着地音が大きい

ということです。

着地音だけから、

「腹横筋が働いていない」

「体幹が弱い」

と判断することはできません。

足首や膝、股関節の使い方、ジャンプの高さ、接地の仕方、靴や地面など、いろいろな要素が関係するからです。

だったら、見えていない筋肉を意識させるより、

「音を小さくしてみる」

方が娘には分かりやすいかもしれない。

そう考えました。

「ドスンじゃなくて、トンッて降りてみよう」

そこで、

パパ:「今度はドスンじゃなくて、できるだけ静かに降りてみようか」

という方向へ変えていきました。

実際の練習では、私は当時、

「足の指の方から静かに降りてみよう」

とも伝えています。

娘にはこの言葉が合いました。

ただ、ここは今振り返ると少し注意が必要です。

「縄跳びは必ずつま先から着地すればいい」

と一般化するのは適切ではありません。

前足部寄りで接地することは縄跳びで自然にみられる一方、足部やふくらはぎ、アキレス腱側への負荷も考える必要があります。

縄跳びの研究でも、跳び方によって床反力や足部への負荷、下肢の使い方が変わることが示されています。

だから今、同じ場面でもう一度娘に伝えるなら、

「つま先で降りて!」

よりも、

「ドスンじゃなくて、トンッて静かに降りてみよう」

から始めます。

「トントン、トントン……」着地音が変わった

娘がもう一度跳び始めます。

「とうっ!」

そして着地。

トン。

もう一回。

トン、トン。

さっきまでの、

「ドスン! ドスン!」

とは明らかに音が違いました。

そのまま続けると、

トントン、トントン、トントン……。

リズムも少し整ってきました。

すると娘が、

娘:「すごーい! ドスンって降りるより、めっちゃジャンプしやすい! 勝手に体が浮くみたい!」

と一言。

もちろん、これは娘一人の体験です。

「静かに着地すれば、すべての子が縄跳びを連続で跳べる」

という意味ではありません。

ただ、少なくとも娘の場合は、

着地を見直したことが、次のジャンプにつながるきっかけになりました。

「静かに着地」は科学的にも意味がある?

ここは理学療法士として少しだけ補足します。

9歳前後の子どもを対象にした研究では、下肢の動かし方や着地音について指示を行うことで、ジャンプ着地時のピーク床反力が小さくなりました。

ただし、この研究は縄跳びではなく、台から降りる着地課題です。

また、3か月後にはグループ間の差がなくなっており、

「一度声をかければ、その動きがずっと定着する」

というものでもありません。

成人を対象にした2025年の研究でも、「静かに着地する」という指示によって垂直床反力などが変化しています。

つまり、

「静かな着地」は、子どもが着地方法を試してみるための分かりやすい声かけの一つ

くらいに考えるのがよさそうです。

足の裏だけが「バネ」ではない

以前の私は、

「足の裏のバネを使おう!」

と娘に説明していました。

イメージとしては分かりやすかったのですが、身体の仕組みはもう少し複雑です。

縄跳びでは足首だけではなく、膝や股関節も動きます。

アキレス腱などの筋腱系や足部の構造も、力を受け止めたり次の動きにつなげたりすることに関わります。

実際、競技縄跳びの研究でも、技によって股関節・膝・足関節での力の分担が変わることが報告されています。

だから子どもには、

「足裏のこの筋肉を使って!」

と細かく説明するより、

「身体をバネみたいにして、トントン跳んでみよう」

くらいのイメージの方が使いやすい場面もあると思います。

もう一つの失敗。「一度に教えすぎない」

今回、もう一つ感じたことがあります。

最初の私は、

「お腹に力を入れて」

「つま先から着地して」

「姿勢を真っすぐにして」

と、どんどん説明したくなっていました。

でも、娘からすると、

「結局どれやればいいの?」

だったのかもしれません。

そこで我が家では、そのとき一番気になることに声かけを絞りました。

今回は、

「音を小さくしてみよう」

です。

ただし、

「子どもには必ず一つずつ教えればいい」

と決まっているわけでもありません。

子どもの運動学習における指示やフィードバックを調べたシステマティックレビューでも、どの頻度・どの方法が常に最も良いのかについては、まだ十分な結論が出ていません。

視覚的な説明や本人が求めたタイミングでのフィードバックなどが役立つ可能性はありますが、子どもや課題によって変わります。

娘の場合には、

「今はこれだけやってみよう」

と声かけを減らしたことが合っていた。

私はそのくらいに考えています。

家で試すなら「つま先」より、まず音を聞いてみる

もし、お子さんの縄跳びで、

「ドスンドスン着地している」

「何回か跳ぶとリズムが崩れる」

「力いっぱい跳んで疲れてしまう」

という様子があれば、まず親子で着地音を聞いてみてもよいと思います。

例えば、

「忍者みたいに静かに降りられるかな?」

「ドスンとトンッ、どっちが跳びやすい?」

とゲーム感覚で比べます。

大切なのは、

親が正解のフォームに無理やり当てはめることではありません。

実際にやってみて、

「こっちの方が跳びやすい」

「これは難しい」

と子ども自身が感じることも大切な情報です。

うまくいかないときは「できない理由」を一緒に探す

縄跳びは、

縄を回す。

縄の位置を見る・感じる。

タイミングを合わせる。

ジャンプする。

着地する。

そして、また次のジャンプへつなげる。

こうした動きを連続して行います。

だから、

「縄跳びが苦手」

だけでは原因は分かりません。

縄の回し方なのか。

ジャンプの高さなのか。

着地なのか。

リズムなのか。

あるいは単純に、まだ縄跳びに慣れていないだけなのかもしれません。

理学療法士として私が大切にしているのは、

できない子を見るのではなく、どこで動きが止まっているのかを見ること。

ただ、子育てでは専門家だから最初から答えが分かるわけではありません。

今回も、

「体幹かな?」

と思い、

「お腹の壁!」

と伝えて、

娘に息を止めさせました(笑)。

そこからもう一度娘を見て、

「だったら音を変えてみよう」

と方法を変えました。

親子の運動は、それくらい試行錯誤でいいのだと思います。

まとめ|「ドスン」を注意するより「トンッを試してみよう」

今回、娘の縄跳びで気になったのは大きな着地音でした。

最初は私も、

「体幹を使わせなきゃ」

と考えました。

でも、うまく伝わりませんでした。

そこで筋肉を意識させることから離れ、

「着地の音を小さくしてみよう」

というシンプルな方法へ変更。

娘の場合は、

「ドスン、ドスン」

だった縄跳びが、

「トントン、トントン」

と軽いリズムに変わり、

本人も「跳びやすい」と感じました。

もちろん、すべての子に同じ声かけが合うわけではありません。

でも、

子どもの動きを見る
↓
仮説を立てる
↓
やってみる
↓
うまくいかなければ変える

この繰り返しなら、家庭でもできます。

「ちゃんと跳びなさい!」

より、

「どんな音なら跳びやすいかな?」

親子でそんな実験をする方が、縄跳びが少し楽しくなるかもしれません。

安全面について

縄跳びは、周囲に十分なスペースがあり、滑りにくく平坦な場所で行いましょう。

疲れて着地が乱れてきたら、回数を増やすことより休憩を優先します。

また、足・膝などに痛みが出た場合は無理に続けないでください。痛みが続く場合や、腫れ・歩きにくさなどがある場合は医療機関への相談を検討してください。

この記事で紹介しているのは、我が家で行った練習の一例です。

お子さんによって身体の使い方や得意・苦手は異なるため、本人の様子に合わせて試してください。

両足跳びが安定したあと、次に挑戦したのがかけあし跳びでした。

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