「子どもがスポーツで足を痛がるときは?かかと・膝のサインと親子で試す足首ストレッチ」

身体の使い方・怪我予防

我が家の小学2年生の娘も、最近ますますスポーツや体を動かす遊びに興味を持つようになってきました。

親としてはうれしい。

でも、体の動きを仕事で見ている理学療法士としては、

「楽しんでほしいけど、ケガはしてほしくないな……」

という気持ちもあります。

そんなある日のことです。

「パパ、見て見て!めっちゃ速く走れるよ!」

家の中をドタバタ走る娘を見ながら、ふと気になりました。

「ん? 着地するとき、少しかかとを気にしてない?」

もちろん、動きを見ただけで病気やケガは判断できません。

むしろ今回、親子でやってみて改めて感じたのは、

「すぐ原因を決めるより、子どもと一緒に体の変化を観察してみることが大切なのかもしれない」

ということでした。

今回は、娘と一緒に「しゃがむ」「伸ばす」を試しながら、スポーツを始めた子どもの足を家庭でどう見ていけばいいのか考えてみます。


スポーツを始めた子どもの「痛い」は、まず話を聞いてみる

私が最初にしたのは、特別な検査ではありません。

「最近、走ったときに痛いところない?」

と聞いてみることでした。

子どもは、大人のように、

「昨日から右のかかとの外側に痛みがあります」

なんて説明してくれません。

遊んでいる途中で足を気にしていたり、運動のあとだけ「ここ痛い」と言ったりすることもあります。

そこで家庭では、

  • 走ると痛がる
  • ジャンプすると痛がる
  • 階段で痛がる
  • 運動後も同じ場所を気にしている
  • いつもと歩き方が違う
  • 運動量が増えた時期と重なっている

といった「いつもとの違い」を見ておくとよいと思います。

ただし、親が痛い場所を何度も強く押して、

「ここ?ここは痛い?」

と検査する必要はありません。

家庭で行うのは診断ではなく、

「昨日と何か違うかな?」と気づくための観察

くらいで十分です。


成長期には、かかとや膝が痛くなるスポーツ障害もある

ここからは、娘の話とは分けて一般的な話です。

成長期の子どもでは、スポーツによる負荷と回復のバランスなどが関係して、かかとや膝の周辺に痛みが出ることがあります。

代表的なものには、

  • かかと周辺に症状が出るシーバー病(踵骨骨端症)
  • 膝の下あたりに症状が出るオスグッド・シュラッター病

などがあります。

若年スポーツ選手の過用障害は、単に「走ったから」「ジャンプしたから」という一つの原因で起こるものではありません。

運動量、強度、回復、成長段階、過去のケガなど、複数の要素が関係します。

また、起こりやすい年齢も疾患によって異なります。

今回の娘がシーバー病やオスグッド病だった、という意味ではありません。

ここを家庭で判断する必要もありません。

親として覚えておきたいのは病名よりも、

「運動するたびに同じ場所が痛いなら、我慢させ続けない」

ということだと思います。


「かかとをつけてしゃがめる?」を娘とやってみた

もう一つ、遊び感覚でやってみました。

「かかとを床につけたまま、しゃがめる?」

いわゆる、和式トイレに座るような深いしゃがみ込みです。

娘は、

「余裕、余裕!」

と自信満々。

ところが、そのまま……

コロン!

後ろへ転がりました。

するとすぐに、

「パパ、床がツルツルなんだよ〜!」

……はい、床のせいらしいです(笑)。

ただ、理学療法士としてここで気をつけたいことがあります。

しゃがめない=足首が硬い、とすぐに決めないことです。


しゃがむ動きは「足首だけ」では決まらない

深くしゃがむには、足首が前方へ動くことも必要です。

実際、日本の小学生を対象にした研究でも、しゃがみ込みと足関節の背屈可動域との関連が報告されています。

だから、

「足首の動きは関係ない」

というわけでもありません。

でも、しゃがむという動作は足首だけで行うものではありません。

膝や股関節がどのくらい曲がるか。

足の位置はどうか。

体をどこまで前に持っていけるか。

そして、その姿勢でバランスを取れるか。

いろいろな要素が合わさって初めて、「しゃがむ」という動きになります。

つまり娘が後ろへ転がったのを見て、

「足首が硬い!」

と一発で原因を決めることはできません。

本人が言うように、本当に床が滑りやすかった可能性だってあります(笑)。

だから我が家では、しゃがみ込みを

「合格・不合格をつけるテスト」ではなく、「今日はどんな動きをするかな?」と親子で観察する遊び

くらいに考えることにしました。


最初の失敗。「ほら、伸ばしてみよう」は娘に不評だった

以前、娘の足首周りを少し伸ばしてみようと思ったことがあります。

私が足先を軽く動かしながら、

「ほら、伸ばしてみよう」

と言うと、

「いててて!パパ、足がちぎれるー!」

大騒ぎです。

いやいや、ちぎれません(笑)。

とはいえ、ここは私の失敗でした。

「ストレッチだから少し伸ばそう」

と、こちら側の目的を優先してしまっていたんですよね。

ストレッチは、痛みを我慢して強く伸ばす必要はありません。

子どもが「痛い」と言っているのに、

「これくらい我慢して!」

と続ける必要もありません。

一度やめました。

そして考え直しました。

「伸ばすこと」ではなく、

娘が自分で気持ちよく動かせる方法にしてみよう。


そこで誕生した「アイスクリームストレッチ」

次に試したのが、こんな声かけです。

「足の裏からふくらはぎのあたりに、太いゴムがあると思ってみて」

「息を、ふぅ〜って吐きながら……」

「そのゴムが、温かいアイスクリームみたいにトロ〜ッと溶けていく感じ!」

すると娘、

「アイス?」

食いつきました(笑)。

そこで我が家では勝手に、

「アイスクリームストレッチ」

と呼ぶことにしました。

もちろん、本当に足の中にゴムバンドが入っているわけではありません。

娘が動きをイメージしやすくするために使った、我が家独自の表現です。

そしてこのストレッチは、痛みのある場所を治療するための方法ではありません。

痛みがないときに、親子で気持ちよく体を動かしてみる遊びとして行っています。


親子でやったアイスクリームストレッチ

1.親子で向かい合う

向かい合って立ち、両手をつなぎます。

バランスを崩しそうなら、親が支えられる状態にしておきます。

2.片足を一歩後ろへ

片方の足を後ろに引きます。

前の膝をゆっくり曲げます。

後ろ側のかかとは、無理のない範囲で床につけておきます。

ふくらはぎ周辺に軽い張りを感じる程度で十分です。

3.「ふぅ〜」と息を吐く

ここで、

「力を抜いて!」

ではなく、

「アイスがトロ〜ッと溶けるよ〜」

と声をかけました。

「ふぅ〜〜〜」

「アイス溶ける〜〜〜」

そして娘、

「パパ、私のアイス、今イチゴ味!」

なぜイチゴなのかは分かりません(笑)。

でも、

「あ、なんか気持ちいいかも!」

と言いながら、自分から続けていました。

私にとってはこちらの方が大事でした。


ストレッチのあと、もう一度しゃがんでみると……

その後、

「もう一回しゃがんでみる?」

と聞いてみました。

すると、

すーっ。

今度は転ばずにしゃがめました。

娘は、

「パパ!今度はできた!」

と得意げです。

ここで、

「アイスクリームストレッチで足首が柔らかくなった!」

と言いたくなるところですが、そう単純には考えられません。

2回目でしゃがみ方に慣れたのかもしれません。

足幅やつま先の向きが少し変わったかもしれません。

バランスの取り方が分かった可能性もあります。

床との摩擦条件が少し違った可能性だってあります。

ストレッチによる一時的な変化が関係した可能性も否定できませんが、今回の親子の体験だけでは分かりません。

だから今回の結果は、

「ストレッチをするとしゃがめるようになる」

ではなく、

「少し条件を変えるだけでも、体の動きは変わることがあるんだね」

くらいに受け止めています。

それでも娘が、

「自分の体って面白い」

と思ってくれたなら、我が家としては十分です。


ストレッチだけでは、スポーツのケガ予防にはならない

ここも大切なところです。

「ケガをしないように毎日ストレッチ!」

という話を聞くことがあります。

でも、スポーツのケガ予防をストレッチ一つだけで考えるのはおすすめしません。

日本理学療法士協会も、静的ストレッチだけでケガを減らせる科学的根拠は限定的であり、運動前にはウォーミングアップを含めた準備が重要だと紹介しています。

子どものスポーツでは、

  • 急に運動量を増やさない
  • その子の体力や経験に合わせる
  • 十分に休む
  • ウォームアップをする
  • 筋力やバランスなども含めて体を動かす
  • 同じ場所の痛みを我慢し続けない

といったことをまとめて考える必要があります。

「柔らかくすれば全部解決」ではありません。


親ができるのは「診断」より「昨日との違いに気づくこと」

今回、娘といろいろ試しながら改めて思いました。

理学療法士だからといって、

子どもの動きを一瞬見ただけで、

「原因はこれ!」

とは分かりません。

むしろ、

「昨日は普通だったのに今日は足を気にしている」

「運動した日だけ同じ場所を痛がる」

「いつもと歩き方が違う」

といった変化を、子どもと一緒に見つけることの方が家庭では大切なのだと思います。

「今日、足どう?」

「昨日より動きやすい?」

そんな会話が、自分の体に興味を持つきっかけにもなります。


こんなときはストレッチより医療機関への相談を

家庭で無理にストレッチを続けるより、医療機関への相談を考えたい場合もあります。

たとえば、

  • 痛みが続いている
  • 運動するたび同じ場所が痛む
  • 明らかな腫れや赤みがある
  • 歩くのがつらい
  • 急に体重をかけられなくなった
  • 発熱を伴っている
  • 夜中に目が覚めるほど痛む
  • 強い痛みが続いている

といった場合です。

「成長期だから」「スポーツしているから」と自己判断せず、気になる症状が続く場合は医師に相談してください。


まとめ|「柔らかくする」より、まず子どもの体を一緒に見てみよう

「パパ、私しゃがめたよ!」

得意げな娘。

その姿を見ながら私は、

「無理やり伸ばさなくてよかったな」

と思いました。

スポーツを始めると、

「もっと速く」

「もっと上手に」

「もっと柔らかく」

と考えてしまいがちです。

でも、その前に、

「今日はどこか痛くない?」

「昨日と何か違う?」

「どうすれば動きやすいかな?」

と一緒に考えてみる。

それも、スポーツを長く楽しむための大切な時間なのだと思います。

しゃがめなくても、

「足首が硬いからダメ」

と決めつける必要はありません。

一回ストレッチしてしゃがめても、

「ストレッチの効果だ!」

と決めつける必要もありません。

親子で試して、観察して、また変えてみる。

「パパ、今日は何味のアイスにする?」

なんて話しながら、

これからも我が家なりに、子どもの体と一緒に遊んでいこうと思います。

Movila(モビラ)

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