「やったー! 私の勝ちー」
お風呂場で、娘のうれしそうな声が響きました。
この日、私たちが使ったのは、食べ終わったプリンのカップ。
特別なお風呂用おもちゃではありません。
ところが、この小さなカップが、親子で予想して、数えて、考えるゲームに変わったのです。
しかも、遊んでいる途中に、娘が思いがけない工夫を見せてくれました。
今回は、理学療法士の私が娘と楽しんだ、プリンカップを使った2つのお風呂遊びを紹介します。
お風呂に入りたがらない子への声かけにも応用できそうな、身近な遊びのアイデアです。
食べ終わったプリンカップが、お風呂のおもちゃに
今回使ったのは、食べ終わったプリンのカップです。
きれいに洗って、底についていた「ポチ」を外し、水が流れるようにして遊びました。
用意したものは、基本的に2つ。
- 洗って安全を確認したプリンカップ
- お風呂で使う桶
これだけです。
おもちゃを買わなくても、身近なものを使って何か遊べないか。
そんなお風呂遊びから、2つのゲームが生まれました。
※カップを加工する場合は大人が行い、切り口や小さな部品が残っていないことを確認してください。加工が危険な場合は、無理に穴を開けず、別の安全な容器を使用しましょう。
① プリンカップの水がなくなるのは何秒?親子で予想ゲーム
最初のゲームは、プリンカップの水がなくなるまでの時間を当てる遊びです。
まずは5秒間、水の減り方を観察
プリンカップにお風呂のお湯をいっぱい入れ、水を流します。
そして、5秒たったらいったん止めます。
ここからがゲームの始まり。
もう一度水を流したとき、何秒でカップの水がなくなるのか予想します。
正解に近い秒数を答えた方が勝ちです。
私の予想は15秒。
娘の予想は20秒。
そして、実際に水がなくなったのは……。
18秒でした。
娘の予想との差は2秒。
私の予想との差は3秒。
娘の勝ちです!
「やったー」
娘は大喜びでした。
娘は何となく予想したわけではなかった
私は娘に聞いてみました。
「何で分かったの?」
すると、娘からこんな答えが返ってきました。
「最初の時にどれくらい落ちてるか見て考えた。」
なるほど。
私は予想が外れてしまいましたが、娘は最初の5秒間の水の減り方を見て、残りの時間を考えていたのです。
ただの勘で20秒と言ったわけではなかったのか。
娘の答えを聞いて、意外な一面を発見しました。
理学療法士パパとして気づいた「観察して予想する力」
今回の娘の発言からは、単に秒数を当てようとしただけでなく、最初に見た情報を次の予測に使っていたことがうかがえます。
理学療法士の仕事でも、動きや環境を観察し、次に何が起こりそうかを考える場面があります。
今回の遊びも、身近な水の動きを観察する機会になっていたのかもしれません。
娘が行っていたと考えられることは、
水の減り方を見る → 残りを考える → 秒数を予想する
という流れです。
水の出方や残りの量によって難しさも変わります。
それでも、娘自身が「見て考えた」と説明してくれたことが、私にとって印象的でした。
② 桶からお湯があふれるのは何杯目?今度は数を当てるゲーム
次に始めたのは、プリンカップで桶にお湯を入れるゲームです。
お風呂のお湯をカップですくい、桶に何杯入れたらあふれるか予想します。
正解に近い数字を答えた方が勝ち。
親子で一緒に数えながら、お湯を入れていきました。
水をすくう動作が、ちょっとした運動にも
このときは、桶を浴槽の縁に置き、娘がプリンカップでお湯をすくって入れました。
その様子を見ていると、お湯をすくうたびに身体を動かしています。
理学療法士として見れば、膝の曲げ伸ばしを伴う、スクワットに少し似た動きです。
娘にとってはゲームですが、身体も一緒に動かしている。
普段なら単調に感じる動作でも、何杯であふれるのかを予想する目的があると、遊びの一部になるのだと感じました。
ただ、家庭で試す場合は、立ったりしゃがんだりすることを目的にせず、安定した姿勢で安全に遊ぶことを優先してください。
最初の勝負は私の勝ち
このゲームでは、最初に私が勝ちました。
すると、娘は、
「悔しい。もう一回」
今度は違う桶を使って再挑戦することになりました。
③ 娘が負けそうになったとき、思いがけない工夫をした
2回目の桶のゲーム。
私の予想は20杯。
娘の予想は30杯。
一緒に数えながら、カップでお湯を入れていきます。
すると、20杯くらいで桶からお湯があふれそうになってきました。
私の予想が当たりそうです。
ところが、ここで娘の行動に変化がありました。
カップですくうお湯の量が、だんだん少なくなってきたのです。
なるほど、そう来たか。
1杯のお湯を少なくすれば、桶があふれるまでに必要な回数は増えます。
そして結果は……。
26杯!
私の20杯との差は6杯。
娘の30杯との差は4杯。
娘の勝ちになりました。
「やったー。私の勝ちー」
娘は再び大喜びです。
親として、ここは少し考えどころ
娘は負けそうになったところで、自分なりに方法を変えました。
予想に近づけようと、すくう量を調整したのだと考えられます。
この工夫自体は面白いと思いました。
一方で、最初に想定していたルールでは、毎回同じくらいの量をすくって比べる必要があります。
途中でお湯の量を変えてしまうと、最初の予想と公平に比べられません。
そこで私は、娘が自分で考えて方法を変えたことを褒めつつ、次はしっかりルールを守ってやろうかと話しました。
すると、娘も納得してくれました。
工夫したことは認める。でも、勝負のルールも大切にする。
今回は、そんなやり取りにもなりました。

理学療法士パパが感じた、お風呂遊びの3つの面白さ
今回の2つのゲームを振り返ると、単に水で遊んだだけではなかったように思います。
1. 見た情報を使って予想していた
水がなくなる時間を当てるゲームでは、娘は最初の5秒間の観察を使って予想していました。
目で見た変化をもとに、次の結果を考える。
今回の経験では、そんな過程が見られました。
一般的に、子どもが数量を見積もったり数の大きさを理解したりする力は、経験や発達とともに変化します。
大切なのは、娘が自分で観察し、考えたことです。
2. 遊びの目的があると身体も自然に動く
カップでお湯をすくって桶に移す動作には、腕の動きだけでなく、姿勢を調整する動きも含まれます。
特に、桶やカップの位置によっては、身体を前に傾けたり、膝を曲げたりすることもあります。
理学療法士としては、こうした日常の動作にも目が向きます。
とはいえ、今回の遊びだけで筋力やバランス能力が向上したとは言えません。
「運動させる」のではなく、遊びの中にも身体を使う機会があると気づけたことが収穫でした。
3. 負けそうになったときの工夫も、考えるきっかけになる
2回目の桶のゲームで、娘は途中からお湯をすくう量を変えました。
これはルールの面では修正が必要でしたが、結果を変えるために方法を考えたとも受け取れます。
私はこの場面で、工夫を褒めることとルールを確認することの両方が大切だと感じました。
勝った、負けた。
それだけで終わらせず、どう考えたのか、どうすればもっと公平になるのか。
そんな話ができるのも、親子遊びの面白さだと思います。
お風呂に入りたがらない子にも使える?家庭で試すポイント
お風呂に誘っても、なかなか入ってくれない。
そんなとき、毎回おもちゃを買い足すのは大変です。
今回のプリンカップ遊びは、お風呂に入るきっかけづくりにも応用できるかもしれません。
最初は簡単な予想ゲームから
例えば、プリンカップの水が何秒でなくなるのか、一緒に予想してみる方法があります。
いきなり難しいルールにせず、親子で予想して比べることから始められます。
水を流す量や方法はそろえ、毎回条件が大きく変わらないようにすると比較しやすくなります。
勝ち負けより、どう考えたかを聞いてみる
今回、私が一番印象に残ったのは、娘が18秒という結果に近い予想をしたこと以上に、その理由を説明してくれたことでした。
「最初の時にどれくらい落ちてるか見て考えた。」
こうした答えを聞けると、子どもが何を見て、何を考えていたのかが少し分かります。
正解かどうかだけでなく、考えた過程にも目を向けてみたいところです。
途中でルールを変えないよう、最初に一緒に確認する
桶にお湯を入れるゲームでは、
- 毎回なるべく同じ量をすくう
- あふれた時点の回数を数える
- 途中で条件を変えない
といったルールを最初に確認すると、予想を比べやすくなります。
小さな子には、勝負にせず、親子で何杯入るか数えるだけでもよさそうです。
お風呂に入りたくない理由も大切にする
お風呂を嫌がる理由が、熱さ、疲れ、怖さ、肌の不快感などにある場合は、遊びだけで解決しようとしないことも大切です。
まずは嫌がる理由を確かめ、無理に誘わないようにしましょう。
安全に遊ぶための注意点
お風呂は楽しい場所ですが、水と滑りやすい床があるため、安全面を優先してください。
1. 必ず大人がそばで見守る
子どもは音を立てずに溺れることもあります。お風呂遊びの間も、子どもから目を離さないことが大切です。
2. 浴槽内で立ちしゃがみを繰り返さない
今回の娘にはスクワットに似た動きもありましたが、滑る危険のある浴槽内で運動させることは勧めません。
座った姿勢で手が届く範囲で楽しむなど、安全な方法を選んでください。
3. 桶は安定した場所に置く
今回、私たちは浴槽の縁に桶を置きました。
ただ、振り返ると、桶が落ちたり、子どもが身を乗り出したりする心配もあります。
家庭で再現する場合は、浴槽の縁に不安定に置かず、浴室床などに安定した低い容器を置いて、無理な姿勢を取らずに遊ぶ方が安心です。
4. プリンカップの加工部分を確認する
加工によってできた鋭い縁や、外れた小さな部品に注意してください。飲み込むおそれのある小さな部品は浴室に持ち込まず、大人が適切に処分しましょう。
5. 長湯や無理な競争を避ける
夢中になっても、入浴時間を延ばしすぎないこと。暑さや疲れを感じたら遊びを終えましょう。
こども家庭庁も、入浴中の溺水予防には大人の付き添いと見守りが大切だと呼びかけています。
まとめ|プリンカップ1つから、親子の発見が生まれた
今回のお風呂遊びで使ったのは、食べ終わったプリンのカップでした。
水がなくなる秒数を当てるゲームでは、娘が水の減り方を観察して予想していたことが分かりました。
桶に何杯入るかを当てるゲームでは、身体を動かしながら数を数え、負けそうになると自分なりに方法を変える姿も見られました。
そして、工夫を褒めながらルールを確認する機会にもなりました。
理学療法士として身体の動きや予測の仕方を見ることもありますが、親としては、娘が何を考えているのかを知ることが何より面白かったです。
お風呂遊びは、特別なおもちゃがなくても楽しめる。
お風呂に入るきっかけが欲しいときにも、親子で身近なものを使って小さなゲームを考えてみてはいかがでしょうか。
もちろん、安全を最優先に。
これからも、親子で遊びながら生まれた発見を、理学療法士パパの視点と一緒に紹介していきたいと思います。


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