小学校に入学すると、子どもの成長を感じる一方で、親として新しい心配事が増えます。
その一つが、子どもだけで歩く通学路の安全です。
園児の頃は、親が送り迎えをしていたわが家。
ところが、小学校に入学すると、娘は自分の足で登下校するようになりました。
「車はちゃんと確認できるかな?」
「知らない人に声をかけられたら?」
「学校で決められた道を覚えているかな?」
そんな不安から、わが家では入学前から親子で通学路を歩き、交通安全や防犯について一緒に考えることにしました。
ところが、入学から約3か月後。
娘の見守りGPSに、いつもと違うルートが表示されたのです。
帰宅した娘は、うれしそうにこう話しました。
「パパ!今日ね、〇〇ちゃんと『秘密の近道』を見つけたんだよ!」
今回は、そんな娘との実体験をもとに、理学療法士パパとして考えた通学路の安全対策と、実際に取り組んだ防犯ブザー・逃げる練習について紹介します。
小学校入学前、親子で通学路を歩いてみた
娘が年長だった冬。
わが家では、休日になると娘と一緒に小学校まで歩くようになりました。
最初の目的は、学校までの道を覚えてもらうこと。
しかし、実際に歩いてみると、道順を覚えるだけでは十分ではないと感じました。
車が曲がってくる交差点。
建物で見通しが悪くなっている曲がり角。
そして、万が一のときに助けを求められる場所。
普段、大人が何気なく歩いている道にも、子どもの目線で考えると気になる場所がありました。
そこで、娘と一緒に3つのことを確認しました。
① 青信号でもすぐに渡らない
最初に確認したのは信号機のある交差点です。
娘も「赤は止まる」「青は渡れる」というルールは理解していました。
しかし、青信号だからといって、周囲を確認せずに渡ってよいわけではありません。
私は娘に、青信号になっても車が止まっているか確認することや、曲がってくる車にも注意することを話しました。
すると娘は、
「青になってもすぐに渡らないようにするんだね。分かったー!」
と返事をしてくれました。
私が大切にしたかったのは、単に信号の色を覚えてもらうことではありません。
「青信号でも、自分の目で安全を確かめてから渡る」
という行動を身につけてもらうことでした。
実際、埼玉県警察も子どもの交通安全について「止まる・見る・待つ・確かめる」という4つの約束を紹介しています。
親子で歩くときにも、横断する前に一度止まり、左右と曲がってくる車を確認する練習をしました。
② 見通しの悪い場所では、一度止まって左右を確認
次に気になったのは、建物などで見通しが悪くなっている場所でした。
大人の身長ではある程度先が見えても、背の低い娘からは周囲の状況が分かりにくい場所があります。
「ここから車や自転車が来たら、どうする?」
そんなことを一緒に考えながら歩きました。
娘の答えは、
「見えないところはゆっくり進んで、右と左を見たらいいんだね」
というものでした。
私は、見えない場所ではまず安全な位置で止まり、左右の確認をしてから進むことを伝えました。
カーブミラーがある場所でも、ミラーだけに頼らず、自分の目で確認することが大切です。
道路へ急に出ず、見える範囲で確かめる。
小さなことですが、この繰り返しが大事なのではないかと感じました。
③ 困ったら逃げ込める場所を覚える
通学路を歩く中で、もう一つ確認したのが「子ども110番の家」です。
これは、子どもが危険を感じたときなどに、助けを求められる地域の協力施設です。
娘とは、ステッカーのある家やお店を一緒に確認しました。
そして、わが家には少し変わった目印もありました。
それが、通学路の途中にある、マッチョなお兄さんがいるという飲食店。
私は娘に、
「ここには筋肉ムキムキのお兄さんがいるんだって。困ったときに助けを求める場所として覚えておこうね」
と話しました。
すると娘は、
「マッチョのお店ね!」
と、すぐに覚えました。
難しい説明より、子ども自身が興味を持てる目印の方が覚えやすいのかもしれません。
ただし、そのお店が実際に緊急時の受け入れに対応できるかは、別の話です。
覚えやすい目印と、実際に避難できる場所は分けて考える必要があります。
子ども110番の家や、助けを求められることを確認したお店などを、親子で把握しておくことが大切だと思いました。
家の前で防犯ブザーと全力ダッシュの練習をした
通学路の安全対策を考える中で、娘にもう一つ質問しました。
「もし変な人が近づいてきたら、どうする?」
すると娘は、
「変な人が来たら大声出してダッシュで逃げるね!」
と答えました。
その返事を聞いて、私は少し考えました。
逃げることを知っているのと、実際に行動できることは違うのではないか?
そこで、家の前で防犯ブザーを鳴らし、安全を確認した場所で全力ダッシュをする練習をしました。
防犯ブザーは持っているだけで大丈夫?
まずは防犯ブザーです。
いざというとき、すぐに手が届くか。
実際に鳴らせるか。
娘と一緒に操作を確認しました。
ランドセルに防犯ブザーがついていても、使い方が分からなかったり、手が届きにくかったりすると困ります。
危険を感じたときには、ブザーを鳴らし、大声で助けを求め、安全な場所へ逃げることも大切です。
ただし、ブザーを鳴らすこと自体が目的ではありません。
一番大切なのは、その場から安全に離れて、大人に助けを求めること。
防犯ブザーは、そのための道具の一つだと考えています。
理学療法士パパとして、走る姿勢も観察してみた
続いて、全力で走る練習です。
ここで少しだけ、理学療法士としての視点が出てきました。
娘が走る様子を見ながら、体の傾きや足の運び方に注目しました。
私は、体を起こしすぎず、少し前に傾けながら走ることを試してもらいました。
すると娘は、
「少し走りやすくなった」
と教えてくれました。
走り始めるときには、体を前へ運びながら足で地面を押すことも必要になります。
ただし、前傾姿勢を強くすれば速く走れるというわけではありません。
大きく前に倒れすぎるとバランスを崩すこともありますし、走りやすい姿勢には個人差もあります。
今回の練習では、娘自身が少し走りやすさを感じたようです。
親としてうれしかったのは、速く走れたかどうかよりも、娘が自分の体の使い方を意識してくれたことでした。
もちろん、本当に危険な場面では走るフォームよりも安全が優先です。
道路に飛び出さず、近くの安全な場所や助けを求められる大人のところへ逃げることを、親子で確認しておきたいと思います。
入学後はGPSを使って娘の帰宅を見守ることに
そして迎えた小学校入学。
わが家では、ランドセルに見守りGPS端末を入れることにしました。
共働きのわが家にとって、娘がどの辺りを歩いているか確認できることは、大きな安心材料でした。
スマートフォンを開くと、娘の位置情報や移動した経路が表示されます。
学校を出発し、いつもの交差点を通り、自宅へ近づいてくる。
その様子を見るたびに、
「今日も無事に帰ってきそうだな」
と、ほっとしていました。
入学して最初の1か月ほどは、娘も教えた通学路を通って帰宅していました。
ただし、GPSには位置情報の誤差や更新間隔があります。
常に正確な現在地を表示するわけではないため、GPSだけで安全を保証できるものではありません。
あくまで見守りを補助する道具として使うことにしました。
入学3か月後、娘が通学路から外れていた!
入学から3か月ほど経ったある日。
いつものように仕事の合間にGPSを確認すると、娘の位置を示す点が普段とは違う場所にありました。
「あれ? いつもの道じゃない……」
確認すると、本来通るはずのない裏道の方向へ移動していました。
しかも、その近くには川沿いの細い道があります。
「えっ、そっちは川沿いの細い道じゃない!?」
一気に不安になりました。
しばらくして、娘は無事に帰宅。
ところが、親の心配とは反対に、娘はとてもうれしそうでした。
「パパ!今日ね、〇〇ちゃんと『秘密の近道』を見つけたんだよ!紫陽花がすごくいっぱい咲いててね!」
どうやら、お友達と一緒に、新しい道を発見したようです。
私にとっては心配な出来事。
でも、娘にとっては楽しい冒険だったのでしょう。
頭ごなしに叱る前に、娘の話を聞いてみた
私は、まず娘の話を聞くことにしました。
「そんなきれいな道があったんだね」
そう伝えたうえで、心配した理由を話しました。
「あそこは車から見えにくい場所もあるから、パパたちは心配しちゃうんだ」
「次からは、まず教えてね」
この出来事を通して、もう一つ明確にしておきたいことがありました。
それは、登下校中は学校で決められた通学路を勝手に変更しないという約束です。
新しい道を見つけたら、学校から帰ったあとに親子で安全を確認する。
学校の通学路に関する決まりも守る。
娘の好奇心を否定するのではなく、どこまでなら自分で決めてよいのか、一緒に考える機会になりました。
理学療法士パパとして感じた「分かっている」と「できる」の違い
今回の経験で、私が改めて考えたのは、安全について知っていることと、実際に安全な行動を選ぶことは別だという点です。
娘は、信号や見通しの悪い道の危険について、ある程度理解していました。
防犯ブザーを鳴らすことや、逃げることも言葉で説明できました。
それでも、お友達と一緒に歩いているときには、きれいな紫陽花や新しい道の魅力が大きかったのかもしれません。
これは娘の発言や行動から考えた私なりの仮説であり、心理学的に原因を特定できるものではありません。
ただ、子どもには「分かっているから大丈夫」と伝えるだけでは足りない場合もあると感じました。
信号を確認する。
見通しの悪い場所で止まる。
防犯ブザーを使う。
安全な場所へ逃げる。
そして、気になる道を見つけても、登下校中は決められた道を守る。
こうした行動を、実際の場面を想像しながら親子で確認することには意味があるのではないでしょうか。
小学生の通学路で、わが家が大切にしたいこと
今回の経験を振り返り、わが家では次のことを大切にしたいと考えています。
- 通学路を親子で歩く:車の出入りや見通し、助けを求められる場所を確認する。
- 実際に動いて練習する:横断前の安全確認や防犯ブザーの操作を、安全な場所で繰り返す。
- 子どもの話を聞く:なぜ違う道を通ったのか、何が気になったのかを知る。
- 登下校の約束を共有する:学校が指定した経路を守り、寄り道や勝手なルート変更をしない。
- GPSを過信しない:位置情報は参考にし、学校や家庭での安全対策と組み合わせる。
また、防犯ブザーの電池や動作も定期的に確認したいところです。
通学路の状況は、季節や時間帯によっても変わります。
雨の日や交通量の多い時間帯など、普段とは違う状況も意識する必要があると感じています。
まとめ|子どもの冒険心を大切にしながら、安全に帰ってこられるように
小学校への入学は、子どもが少しずつ自分で行動するようになる大きな節目です。
わが家では入学前から通学路を歩き、交通安全や防犯について確認してきました。
それでも、入学3か月後には思いがけない「秘密の近道」事件が起こりました。
親としては心配でしたが、娘は友達と新しい道を見つけたことが楽しかったのでしょう。
一方、防犯ブザーや走る練習では、
「少し走りやすくなった」
という娘自身の気づきもありました。
子どもの安全を守るために、親ができることはたくさんあります。
しかし、親がずっと隣を歩いていられるわけではありません。
だからこそ、危険な場所を一方的に教えるだけではなく、子ども自身が気づき、考え、安全な行動を選べるように親子で練習することが大切なのではないでしょうか。
これからも私は、娘の好奇心を大切にしながら、安全に学校から帰ってこられるよう、一緒に考えていきたいと思います。
皆さんのご家庭では、通学路の安全対策としてどのような工夫をしていますか?


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