「今日は歩くの平気。あの辺の店に全部行きたい」
普段は歩くことがあまり好きではない娘から、夏祭りで思いがけない言葉が出ました。
いつもの散歩だったら、歩くことにあまり乗り気ではない娘。
それなのに、お祭りの会場では自分からいろいろな出店に行こうとしていました。
食べ物を買ったり、ゲームを楽しんだり、最後は花火を見たり。
約60分、歩いたり出店に立ち寄ったりしながら夏祭りを楽しみました。
そして、花火を見た帰り道。
「疲れたから抱っこして…」
やっぱり最後は疲れたようです。
でも、この日の娘を見て、理学療法士である私も一つ気づいたことがありました。
子どもに歩いてもらうには、歩くこと自体を目的にしなくてもいいのかもしれない。
今回は、そんな夏祭りでの親子の体験を紹介します。
普段は歩くのが苦手な娘。でも夏祭りは楽しみ!
普段の娘は、散歩などで長い距離を歩くことがあまり好きではありません。
体を動かすことが全般的に嫌いというわけではありませんが、歩くことそのものには、あまり積極的ではない様子です。
ところが、夏祭りに出かける前から反応が違いました。
「夏祭り楽しみー」
そして会場に着くと、
「今日は歩くの平気。あの辺の店に全部行きたい」
自分から歩いていろいろなお店に行きたいと言うのです。
歩くという動作は普段と変わらないはずなのに、娘の気持ちは大きく違っているようでした。
トルネードポテトに焼きそば、ゲームに花火!
夏祭りでは、いろいろな出店を楽しみました。
- トルネードポテトと焼きそばを食べる
- スーパーボールすくいを楽しむ
- くじ引きをする
- 光る棒を買う
- 最後に花火を見る
食べ物もあれば、ゲームもあり、光るおもちゃもあります。
娘にとって、夏祭りは興味のあるものがたくさん並んでいる場所でした。
あのお店も見たい。こっちにも行ってみたい。
そんな気持ちが、歩くことにつながっていたのかもしれません。
実際に、会場では約60分にわたって歩いたり、お店に立ち寄ったりして過ごしました。
歩数は測定していないので、何歩歩いたかは分かりません。
それでも、普段は歩くことにあまり積極的ではない娘が、自分から移動したがっていたことが印象に残りました。
ところが、花火の帰りには「抱っこして…」
夏祭りの最後には、花火も楽しみました。
そして帰り道。
「疲れたから抱っこして…」
会場では歩くのを嫌がっていなかった娘も、さすがに疲れたようです。
ここで大切なのは、夏祭りで楽しそうに歩いていたからといって、疲れなくなったわけではないこと。
楽しい時間だったとしても、歩けば体力を使います。
今回の娘も、会場では「歩くの平気」と言っていましたが、帰るころには疲れを感じていました。
私はこの反応も、子どもの体力や活動量を考えるうえで大切な情報だと感じました。
理学療法士として考えた「なぜ夏祭りだと歩けたのか?」
今回の娘の様子を振り返ると、主に3つの可能性が考えられます。
1. 歩くことではなく「行きたい場所」が目的だった
散歩では、歩くことそのものが目的になりがちです。
一方、夏祭りでは違いました。
娘の目的は、屋台を見たり、ゲームをしたり、お祭りを楽しんだりすること。
歩くことは、やりたいことを実現するための移動手段になっていました。
普段の散歩と比べて、この目的の違いが娘の行動に影響した可能性があります。
2. 自分で行きたい場所を決めたかった
「あの辺の店に全部行きたい」
この言葉から、娘自身が行きたい場所を見つけ、そこに向かおうとしていたことが分かります。
子どもの身体活動では、楽しさだけでなく、自分で選べることも意欲に関わると考えられています。
ただし、娘が歩けた理由を、この一つだけで説明することはできません。
祭りの雰囲気、屋台への興味、普段と違う環境など、複数の要因が重なったのかもしれません。
3. 歩く以外の楽しみが何度もあった
夏祭りは、ずっと歩き続ける活動ではありません。
移動する。
屋台を見る。
食べ物を食べる。
ゲームを楽しむ。
また別の場所に向かう。
こうした活動の切り替わりがあります。
私が理学療法士として注目したのは、一つの運動を長く続けるのではなく、さまざまな活動の中に歩行が組み込まれていたことです。
もちろん、途中で立ち止まることが疲労をどの程度軽減したかは分かりません。
しかし、歩くことだけに意識が向かない環境だったことは、今回の大きな特徴だと思います。

子どもの身体活動は1日60分が目安。でも歩数だけでは判断できない
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、WHOのガイドラインを参考に、子どもには中強度以上の身体活動を1日60分以上行うことが推奨されています。
中強度とは、少し息が上がるくらいの身体活動を指します。
ここで気をつけたいのは、60分間外出したことと、60分間の中強度以上の身体活動をしたことは同じではないという点です。
今回の夏祭りでは、歩いた時間や速さ、歩数を細かく測定していません。
そのため、厚労省が紹介している身体活動量の目安に達したかどうかは分かりません。
大切なのは、歩数や時間だけを追いかけることではなく、子どもの状態や体力に合わせて、無理なく体を動かす機会を増やすことだと思います。
今回の娘の場合は、夏祭りがその一つの機会になりました。
散歩を嫌がる子どもには「歩く理由」を作るのも一つの方法
今回の経験から、今後の親子の外出でも意識してみたいことがあります。
それは、「歩いて体力をつけよう」より、「行ってみたい場所を見つけよう」と考えることです。
例えば、家庭で応用するなら、
- 公園まで歩くことだけを目的にせず、遊具で遊ぶ楽しみを作る
- 好きな景色や季節の花を見に出かける
- 子ども自身に行きたい場所を選んでもらう
- 最初から長い距離を目指さず、短い距離から始める
といった方法が考えられます。
これらは今回の夏祭りから考えた、これから試してみたい工夫です。すでに娘に試して成功した方法というわけではありません。
また、目的があれば誰でも長く歩けるというものでもありません。
足の痛みや疲れやすさ、体調、暑さ、靴の履き心地など、歩くのを嫌がる理由は子どもによって違います。
嫌がる理由を決めつけず、その子に合った方法を考えることが大切です。
夏祭りで気をつけたい安全面
夏祭りは楽しい一方、夏の暑さや人混み、夜間の移動など、気をつけたいこともあります。
特に子どもは、遊びに夢中になると体調の変化に気づきにくい場合があります。
家庭で気をつけたいのは、次のような点です。
- 暑さに応じて、涼しい場所で休憩する
- のどが渇く前から、こまめに水分を補給する
- 人混みでは子どもとはぐれないようにする
- 帰り道も考えて、歩く距離を無理に延ばさない
- 疲れたときは休む、抱っこするなど柔軟に対応する
今回の娘も、帰りには「抱っこして」と言っていました。
楽しく歩けることと、無理なく帰れることは別です。
次に出かけるときも、帰りの体力まで考えておく必要があると感じます。
まとめ|歩くことが目的でなくても、体を動かす機会は作れる
今回の夏祭りでは、普段あまり歩きたがらない娘が、
「今日は歩くの平気。あの辺の店に全部行きたい」
と、自分から歩いてお店を回りたがっていました。
そして、花火を見た帰りには、
「疲れたから抱っこして…」
という言葉も。
楽しいからといって疲れないわけではありません。
それでも、歩くことをあまり好まない娘が、夏祭りでは自分から移動したいと思っていたことは、私にとって大きな発見でした。
「運動させる」ことだけを考えるのではなく、「子どもが動きたくなる目的や環境を作る」ことも大切なのかもしれません。
ちなみに、その後の娘は、
「またお祭りに行きたいー」
と言っていました。
娘にとっては体力づくりの時間ではなく、楽しい夏祭りだったのでしょう。
私としては、その楽しさの中に自然と歩く機会があったことが、今回一番の収穫でした。
参考資料
※本記事は一家庭の体験と、その体験をもとにした考察です。すべての子どもに同じ結果が生じることを示すものではありません。


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