キャット&カウで子どもの前屈は変わる?床まであと5cmだった娘の記録

身体の使い方・怪我予防

「あともう少しで届くのに、ここから先が行けないー」

ジャックナイフストレッチを1か月続け、立った状態での前屈(立位体前屈)が少しずつ改善してきた娘。

最初は床から15cm離れていた指先が、5cmまで近づきました。

でも、あと少しが届きません。

そこで、理学療法士として次に注目したのが、腰や背中の動きです。

今回新たに取り入れたのは、四つ這いで背中を丸めたり反らしたりする「キャット&カウ」。

娘は名前を聞いて、楽しそうに取り組み始めました。

そして約1か月後、ついに指先が床へ。

ところが、その後に思いがけない問題が出てきました。

今回は、キャット&カウを試した親子の実体験と、目標を達成した後に感じたストレッチ継続の難しさを、理学療法士の視点から紹介します。

ジャックナイフストレッチで床まであと5cmに

前回は、娘の太ももの裏にあるハムストリングスという筋肉に注目しました。

ハムストリングスは、膝を曲げたり、股関節を伸ばしたりするときに働く筋肉です。

膝を伸ばして前屈すると、この筋肉も伸ばされます。

そこで取り入れたのが、ジャックナイフストレッチでした。

1か月後、娘の指先と床の距離は15cmから5cmに改善。

しかし、娘はまだ満足していませんでした。

「あともう少しで届くのに、ここから先が行けないー」

この言葉を聞いて、私は前屈に関わる別の部分にも目を向けてみることにしました。

前屈は太ももの裏だけでは決まらない?

立位体前屈というと、太ももの裏の柔軟性が注目されがちです。

しかし、実際には複数の部分が関係しています。

  • 太ももの裏の筋肉の伸びやすさ
  • 股関節の曲がりやすさ
  • 骨盤が前に傾く動き
  • 腰や背中の曲がり方
  • 膝の伸ばし方
  • 身体を伸ばすときの感覚

つまり、床に手が届かないからといって、必ずしも太ももの裏だけが硬いとは限りません。

今回、私が注目したのは腰椎、いわゆる腰の骨の部分です。

前屈では、股関節だけでなく腰や背中も動きます。

そのため、腰や背中を自分で丸めたり伸ばしたりする練習を加えてみようと考えました。

ただし、娘の腰椎の可動域を専門的な検査で測定したわけではありません。

腰の動きが不足していたと確認できたわけではなく、あくまで今回の仮説です。

親子で試したキャット&カウとは?

キャット&カウは、四つ這いの状態で背中を丸めたり、反らしたりする運動です。

猫と牛の姿勢をイメージして、背骨全体をゆっくり動かします。

牛のポーズ(カウ)

四つ這いになり、お腹を少し床に近づけながら、背中を緩やかに反らします。

腰だけを強く反らすのではなく、背中全体が少しずつ動くようにします。

猫のポーズ(キャット)

四つ這いのまま、お腹を軽く引き込み、背中を天井へ向かって丸めます。

頭や首に無理な力を入れず、自然に動かします。

この2つをゆっくり繰り返します。

娘に説明すると、意外な反応が

娘に運動を説明するとき、私は「牛のポーズ」「猫のポーズ」という名前を使いました。

すると娘は、

「牛のポーズと猫のポーズ?面白い」

と反応してくれました。

普段、理学療法士としてリハビリを行うときにも、相手がイメージしやすいように例えを使うことがあります。

「腰椎を屈曲・伸展させよう」と説明するより、「猫のように背中を丸めてみよう」の方が、子どもには動作をイメージしやすいかもしれません。

今回は、娘も最初から楽しそうに取り組んでいました。

実際に娘と行った回数と方法

今回、我が家で試した内容は次のとおりです。

  • 1日2回
  • ゆっくり約10秒かけて動くことを意識
  • 10往復
  • 痛みが強くならない範囲
  • 約1か月継続

私たちは、息を吐きながら猫のポーズ、息を吸いながら牛のポーズを行いました。

家庭で試す場合は、呼吸を止めず、無理なく自然に呼吸できることを優先してください。

また、今回の10往復という回数は我が家の実践記録であり、すべての子どもに必要な回数ではありません。

約1か月後、ついに指先が床へ!

キャット&カウを取り入れて約1か月。

娘が再び立位体前屈をすると、ついに指先が床まで届きました。

「あ。届いたー。やったー」

ジャックナイフストレッチを始めたころは、床から15cmも離れていた指先。

その後5cmまで近づき、今回ついに床に届きました。

今回確認できた変化を整理すると、次のようになります。

時期指先と床の距離
ジャックナイフ開始前15cm
ジャックナイフ実施約1か月後5cm
キャット&カウを取り入れて約1か月後0cm(床に届いた)

親子で取り組んできた一つの目標を達成できました。

ただし、キャット&カウだけの効果とは言えません。

それまでのジャックナイフストレッチによる変化や、前屈動作への慣れ、骨盤や背中の使い方などが関係した可能性もあります。

ところが翌日「もう地面に届いたからやめとくー」

床に手が届いたので、これからも続けられるかと思っていました。

しかし、次の日にストレッチへ誘ってみると、娘から返ってきたのは、

「もう地面に届いたからやめとくー」

という言葉。

どうやら、娘にとって「床に届くこと」が一つのゴールになっていたようです。

最初は牛や猫のポーズを面白がってくれていました。

でも、目標を達成すると、それ以上続ける理由が薄くなってしまったのかもしれません。

理学療法士としては、ある程度継続することの重要性を考えます。

一方で、父親としては、娘が達成したいと思っていた目標はすでに達成しています。

ここに、親子で運動を続ける難しさがありました。

約1週間後、再び床に届かなくなった

それから約1週間後。

娘が再び前屈をすると、今度は床まで指先が3cm届きませんでした。

「また届かない…。」

一度は床まで届いたのに、再び距離ができてしまいました。

ストレッチをやめたから硬くなった?

ここは少し慎重に考える必要があります。

ストレッチを中断すると、獲得した関節可動域が時間とともに一部低下することは研究でも報告されています。

しかし、今回の娘の場合、1週間後に3cm届かなくなった原因を、ストレッチを休んだことだけで説明することはできません。

例えば、前屈の測定値には、

  • 測定前に身体を動かしていたか
  • その日の身体の状態
  • 膝の伸び具合
  • 骨盤や背中の動かし方
  • どの程度まで前屈しようとしたか

などが関係する可能性があります。

そのため、3cm届かなくなったことが、そのまま柔軟性の低下を意味するとは限らないのです。

理学療法士として考えたこと|改善と継続は別の問題

今回の経験で、私が改めて考えたのは「できるようになること」と「続けること」は別の課題だということです。

キャット&カウという動物の例えは、娘が運動に興味を持つきっかけになりました。

また、「床に指をつける」という分かりやすい目標があったことで、ストレッチに取り組む理由もあったのかもしれません。

しかし、いったん達成してしまうと、その目標はもう新しくありません。

これは娘のやる気がないという話ではなく、運動への興味や目標が変わった可能性があります。

毎回「続けなさい」と言うことが、必ずしもよい方法とは限りません。

今回、私は娘の反応を見て、ストレッチを継続させることの難しさを感じました。

現在は、娘が気の向いたときに行っている

今は、娘が気の向いたときにストレッチをしています。

毎日必ず行うという方法にはしていません。

来年の体力測定前になったら、また声をかけてみようかとも考えています。

これからは前屈の数値だけでなく、娘が無理なく身体を動かせることや、運動を楽しめることも大切にしたいと思います。

家庭でキャット&カウを試すときのポイント

子どもと試す場合は、難しい説明から始める必要はありません。

1.猫と牛の動きをイメージしてみる

「猫のように背中を丸める」「牛のように背中をゆるく反らす」と説明すると、動きをイメージする助けになるかもしれません。

2.大きく動かすより、ゆっくり動かす

腰だけを無理に動かそうとせず、背中全体が自然に動く範囲で行いましょう。

3.回数は子どもの様子に合わせる

我が家では10往復を行いましたが、最初から同じ回数を目指す必要はありません。

4.前屈の結果だけを追いかけない

床に指が届くことは一つの目標になりますが、それがすべてではありません。

身体を自分で動かし、どのような動きができるのかを感じる経験も大切にしたいところです。

5.痛みや嫌がる様子があれば無理をしない

背中や腰、手首などに痛みがある場合は中止します。

親が無理に背中を押したり、強く反らせたりする必要はありません。

痛みが続く場合やしびれなどがある場合は、医療機関に相談してください。

なお、キャット&カウはすべての子どもに必要な運動ではなく、腰痛や姿勢の問題を必ず改善するものでもありません。

まとめ|床に届いたことより、その後の関わり方が難しかった

前回のジャックナイフストレッチでは、指先と床の距離が15cmから5cmまで改善しました。

今回、キャット&カウを取り入れて約1か月後、娘の指先はついに床へ。

「あ。届いたー。やったー」

ところが、次の日には、

「もう地面に届いたからやめとくー」

そして約1週間後には再び3cm届かなくなりました。

床まで届くという目標は達成できましたが、継続という新たな課題が残りました。

理学療法士としては、柔軟性の変化や運動の効果を考えます。

でも、父親としては、娘が何を面白いと感じ、何を目標にしているのかを知ることも大切です。

今回の経験から、子どもが運動を続けるためには、身体の変化だけでなく、興味や気持ちの変化にも目を向ける必要があると感じました。

また娘がやりたくなったときに、一緒に試していこうと思います。

ジャックナイフストレッチの効果

キャット&カウの基本的な動き

Cleveland Clinicによる実践解説です。四つ這いで背中を動かす方法と、一般的な呼吸の合わせ方を確認できます。

Cleveland Clinicの解説を読む


※この記事は我が家の実践記録です。キャット&カウ単独の効果を検証したものではなく、医療的な診断や治療を目的とするものではありません。

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