前回、小学2年生の娘と初めて本格的に公道を走りました。
「前回、公園から初めて公道へ出たときには、狭い道・信号・坂道で別の難しさが出てきました。」
公園では、
まっすぐ走れる。
曲がれる。
ブレーキをかけて止まれる。
そこまでできるようになっていたので、正直、
「これなら道路でも少しずつ走れるかな」
と思っていました。
ところが実際に道路へ出てみると、
狭い道。
歩行者。
信号。
坂道。
公園にはなかった難しさが次々に出てきました。
そして今回。
「危ないかもしれない」
と私自身が思っていたのに、止めるのがぎりぎりになった場面がありました。
理学療法士として病院で働いていると、事故にはならなかったものの「ヒヤッとした」「ハッとした」出来事を振り返り、次の事故を防ぐために生かすことがあります。
医療では「ヒヤリ・ハット」と呼ばれる考え方です。
今回の自転車練習は、まさに我が家のヒヤリハットでした。
下り坂の先にあった、見通しの悪い場所
前回の公道練習では、坂道を下る経験もしました。
今回も同じように坂を下っていたのですが、やはり思ったよりスピードが出ます。
その先の左側には塀がありました。
塀の向こうが見えません。
私は横で、
「ここ、左から車が来ても見えないから危ないな」
と思っていました。
だから止めるつもりではいました。
ところが、娘の自転車は思った以上に速い。
「止まって」
と声を掛けながら私も止めようとしましたが、かなりぎりぎりになりました。
そして左側から、本当に車が来ました。
事故にはなりませんでした。
でも、
「今のは危なかった」
と、かなりヒヤッとしました。
親が危険に気づいていても、間に合わないことがある
今回、私が一番反省したのはここです。
私は危険そのものには気づいていました。
それでも、
「危なくなったら自分が止めればいい」
という気持ちが、どこかにあったのだと思います。
でも自転車はスピードが出ます。
一度速度が上がると、横にいる親がすぐ止められるとは限りません。
「親が助けられるから大丈夫」ではなく、
子ども自身が危険な場所の手前で速度を落とし、止まれること。
そこまで含めて公道練習なのだと感じました。
「車は来ない」ではなく「来るかもしれない」
その場で娘と話をしました。
「今、塀の向こうが見えなかったよね」
「うん」
「見えないけど、人とか自転車とか車が来るかもしれないんだよ」
すると娘は、
「人や車が通ると思うことが大事なんだね」
と言いました。
この言葉は、かなり大事だなと思いました。
交通安全というと、
「左右を見よう」
「止まろう」
と動作だけを教えがちです。
もちろん、それも重要です。
でも実際の道路では、
見えていない場所にも何かがいるかもしれない
と考えることも必要です。
塀の向こう。
駐車している車の陰。
曲がり角。
建物の出入口。
見えない場所は道路のあちこちにあります。
理学療法士として考えた「見る」と「予測する」は少し違う
自転車に乗りながら道路を見るとき、子どもはかなり多くのことをしています。
前を見る。
ハンドルを調整する。
ペダルをこぐ。
速度を考える。
人や車を探す。
信号を見る。
さらに、
「あの塀の後ろから何か出てくるかもしれない」
と考える必要があります。
ただし、
「危険に気づかなかった=注意力が弱い」
とは言えません。
自転車操作にまだ慣れていないこと。
速度が速かったこと。
見る場所が多かったこと。
道路経験が少ないこと。
いろいろな要因が考えられます。
この一場面だけから、認知機能や注意機能について判断できるものではありません。
だから我が家では、
「もっとちゃんと見て!」
ではなく、
「この塀の向こうから、何が来ると思う?」
と聞いてみることにしました。
答えを当てるクイズではありません。
「見えない場所にも何かいるかもしれない」
と一緒に考える練習です。
横から軽く押したら「簡単に倒れそう」
もう一つ、娘に自転車の不安定さを知ってもらおうと思い、自転車に乗っている娘を横から軽く押してみました。
娘は、
「わー。簡単に倒れそうになる」
と驚いていました。
自転車は前へ進んでいると安定しているように感じますが、横方向から予想外の力が加わると、ハンドル操作や姿勢修正が必要になります。
ただ、ここは私自身の反省点です。
実際に乗っている子どもを横から押す練習は、転倒につながる可能性があるためおすすめしません。
今回の記事で「やってみてください」と紹介したい方法ではありません。
もし自転車が横からの力に弱いことを伝えるなら、
子どもは降りた状態で、親が自転車を支えながら車体を少し傾け、
「自転車って横にはこんなに傾くんだね」
と確認する程度で十分だと思います。
自分たちが実際にやったことでも、安全面を考えて、
「次はやらない」
と修正する。
これも今回のヒヤリハットから得た学びでした。
次の壁は、車道から歩道へ上がる段差
少し進むと、今度は車道から歩道へ上がる場面がありました。
娘がそのまま進んでいくと、
前輪が段差に対してかなり浅い角度になりました。
すると、
うまく歩道へ乗り上げられません。
娘は、
「えー。なんで歩道に上がれないの?」
そして、
「タイヤが逃げていっちゃった」
と言いました。
この「タイヤが逃げる」という表現。
実際の感覚として、とても分かりやすいと思いました。
段差に対して前輪が平行に近い状態で入ると、タイヤが段差を真正面から乗り越えるというより、段差に沿う方向へ流されるような動きが起こりやすくなります。
そこで最初は私がハンドルを誘導し、
もう少し大きな角度で段差へ入る方向を一緒に作りました。
娘は、
「ハンドルを曲げて進んだらいいんだね」
と理解したようでした。
段差は「角度」が一つのポイント
段差を越えるときは、
前輪が段差に対して浅い角度で入るより、少し大きな角度をつけた方が乗り越えやすくなります。
ただし、
「○度なら絶対安全」
というものではありません。
段差の高さ。
路面の状態。
タイヤの太さ。
速度。
子どもの操作能力。
条件によって変わります。
また、公道で大きくハンドルを切ろうとして、車道側へ膨らんでしまう方が危険です。
安全に角度を作れない場所なら、
いったん止まり、自転車から降りて押して歩道へ上がる
という選択肢で十分です。
「自転車に乗ったまま全部できること」がゴールではありません。
我が家なら、次は公道の前に段差だけ練習する
今回の経験から、次に同じ場面を練習するなら、
いきなり車の通る道路では行いません。
車や歩行者が来ない安全な場所で、
低い段差や似た形の境界を使い、
「ゆっくり近づく」
↓
「段差を見る」
↓
「少し大きな角度を作る」
↓
「前輪が乗ったらそのまま進む」
という一つの動作だけを確認します。
そして公道では、
「段差を越える練習」
ではなく、
「安全に越えられる状況か判断する練習」
に変えたいと思っています。
無理なら降りる。
それも立派な判断です。
小学校低学年の公道練習で、親が見たい3つ
今回の経験から、私は次の3つを見るようになりました。
1.見えない場所の手前で止まれるか
車が見えてから止まるのでは遅い場面があります。
塀。
駐車車両。
曲がり角。
建物の出入口。
「何か来るかもしれない場所」を親子で探します。
2.速度が上がったとき、自分で減速できるか
公園では止まれていても、下り坂では条件が変わります。
平地で止まれるからといって、坂道でも同じように止まれるとは限りません。
公道に出る前に、
「下り坂でスピードが出たときにも減速できるか」
を確認しておく必要があると感じました。
3.難しい場所で「降りる」を選べるか
段差。
狭い歩道。
人が多い場所。
複雑な交差点。
全部、自転車に乗ったまま突破する必要はありません。
「ここは難しそうだから降りよう」
と判断できることも、公道で安全に乗るための大事な力だと思います。
「乗れるようになった」は、公道練習のスタートだった
補助輪なしで走れるようになったとき、
私は「自転車に乗れるようになった」と思っていました。
でも、公道を走ってみると違いました。
まっすぐ走る。
曲がる。
ブレーキをかける。
それに加えて、
人を見る。
車を見る。
死角を考える。
速度を変える。
危ないと思ったら止まる。
難しければ降りる。
公道では、そうした判断まで必要になります。
今回、娘と話した中で一番印象に残ったのは、
「人や車が通ると思うことが大事なんだね」
という言葉でした。
たぶん公道練習は、
子どもに正解をたくさん教えることだけではありません。
一緒に走りながら、
「ここ、何が危ないと思う?」
「見えないところから何が来るかな?」
と親子で考えること。
そして親自身も、
「あのやり方は危なかったな」
と修正していくこと。
自転車に乗れるようになった娘と、
今度は「安全に考えながら乗る練習」を続けていこうと思います。


コメント