「まだ起きたくないー」
朝、娘を起こしに行くと、布団の中からそんな声が聞こえてきました。
気持ちは分かります。私だって、できればもう少し寝ていたい。
でも、学校の集合時間は待ってくれません。
「早く起きて!」
「ご飯食べて!」
「もう着替える時間だよ!」
気づけば、朝から同じ言葉を何度も繰り返していました。
娘が小学校に入学した頃、わが家が直面したのが、この朝の準備がなかなか進まない問題です。
そこで、少しでも楽しく準備できないかと、親子でいくつかの工夫を始めました。
特別な道具は使いません。
娘に少しだけ選んでもらったり、朝の準備をゲームのようにしたり。
今回は、わが家で実際に試した5つの工夫と、理学療法士として振り返って気づいたことをご紹介します。
小学校に入学して変わった朝の生活
保育園時代と小学校生活では、朝の時間の使い方が変わりました。
わが家では、近所のお友達と一緒に登校しています。
そのため、決まった時間に集合場所へ行かなければなりません。
ところが、娘はまだ布団の中。
ようやく起きても、朝ごはんや着替えで時間がかかります。
「早くしないと、お友達を待たせちゃうよ!」
つい強い口調になってしまうこともありました。
娘だって、わざと遅く準備しているわけではないのでしょう。
それでも、時間が迫ると私にも余裕がなくなります。
今振り返ると、娘を急がせることばかり考えて、準備しやすい環境を作ることには十分目を向けていなかったのかもしれません。
工夫① 朝起きない娘には「お父さん特急」
朝6時45分。
アラームが鳴っても、娘は毛布にくるまっています。
「まだ起きたくないー」
ここで無理に布団を剥がすと、不機嫌になって、その後の準備まで進まなくなることがありました。
そこで始めたのが、わが家の「特急列車作戦」です。
私はベッドの横にしゃがみ、娘の背中を軽くトントン。
「おはよう。今日はどっちの特急列車でリビングまで行きますか?」
「お父さん特急? それともお母さん特急?」
しばらく沈黙。
すると、目を閉じたまま小さな声が聞こえました。
「……お父さん特急」
よし!
心の中でガッツポーズです。
「承知しました! お父さん特急、出発進行!」
そう言って娘を抱っこし、リビングへ向かいます。
もちろん、毎朝この方法が通用するとは限りません。
それでも、ただ「早く起きて」と言うより、娘が返事をしてくれるきっかけになりました。
小学生になっても、まだ抱っこさせてくれる娘。
いつまでこうして運べるのかな。
そんなことを思いながら、朝の第一関門を突破しています。
理学療法士パパとして考えたこと
この場面で面白いと感じたのは、娘が「起きるか、起きないか」ではなく、「どちらの列車にするか」を考えていたことです。
自分で選べることが、次の行動へ移るきっかけになったのかもしれません。
ただし、選択することで脳が強制的に目覚めるというわけではありません。
あくまで、わが家では親子のやり取りが変わったという体験です。
また、抱っこが難しくなれば、一緒に歩いてリビングへ向かう方法でもよさそうです。
工夫② 朝食は「ミニバイキング」で自分で選ぶ
次の問題は朝ごはん。
以前は、私が朝食を用意していました。
ところが、
「えー、これ嫌だ」
「今日はパンの気分じゃない」
と、なかなか食べ始めないこともありました。
せっかく用意したのに……。
親としては、ちょっとがっかりします。
そこで始めたのが、朝食ミニバイキングです。
わが家の選択肢は、主にこの3つ。
- 納豆ごはん
- 卵かけごはん
- 食パン
「さあ、お嬢様。本日の朝食はいかがなさいますか?」
私がウェイターになったつもりで聞くと、
「んー、今日は納豆!」
娘が自分で朝食を選びます。
以前のように出されたものを食べるだけでなく、自分が食べたいものを決める時間ができました。
わが家では、自分で選んだ日は比較的スムーズに食べ始めることがありました。
ちなみに、娘が選ばなかったメニューはパパとママの朝食になります。
家族みんなで食べるものを選べるので、私たちにとっても楽しい工夫になりました。
ただ、毎朝3種類を準備するのは大変な家庭もあると思います。
前日のうちに選んでおいたり、「ごはんかパン」の2択にしたりしてもよさそうです。
主食だけで済ませず、無理のない範囲で野菜や果物、たんぱく質を含む食品なども組み合わせたいところです。
工夫③ 着替えが進まないときは「3択コーデ」
朝ごはんを食べ、歯磨きも済ませた娘。
いよいよ着替えです。
ところが、クローゼットの前で手が止まります。
「今日、何着て行こう……」
娘には娘なりのこだわりがあります。
「このTシャツには、このスカートは合わない」
「今日は体育があるからズボンがいいけど、可愛いのがない」
うーん。
私は早く着替えてほしい。
でも、娘は服を選ぶ時間も大切にしたいようです。
ここで私が、
「これでいいじゃん!」
と決めようとすると、
「パパはセンスないから!」
と言われてしまうことも。
なかなか厳しい評価です(笑)。
そこで、服を選びやすくするため、3つのコーディネートを並べることにしました。
例えば、
- 動きやすいスポーティな服
- お気に入りのキャラクターTシャツ
- 少しおしゃれなフリルブラウス
「パパは今日の天気なら3番がいいと思うな」
そう伝えると、
「えー、パパはそれがいいの? じゃあ私は1番にする!」
私のおすすめは見事に却下。
でも、それでいいんです。
大切なのは、私が選んだ服を着てもらうことではありません。
娘が納得して服を選び、着替え始められること。
3択にしたことで、迷う時間を減らしながら、娘の好みも大切にできたと感じています。

服選びは身体の動かしやすさにもつながる
理学療法士としては、服のデザインだけでなく、動きやすさも気になります。
例えば体育がある日なら、しゃがむ、走る、腕を動かすといった動作がしやすい服を考えます。
ただし、見た目がスポーティだから必ず動きやすいとは限りません。
サイズや素材、学校の決まりなども大切です。
親が一方的に決めるより、娘の好みとその日の活動を一緒に考える。
服選びも、日常の中で自分の生活を考える機会になりそうです。
工夫④ ランドセルの準備は前日の夜に
朝の準備を少し楽にできた理由には、前日の準備もありました。
わが家では、できるだけ夜のうちに学校の持ち物を確認するようにしています。
時間割、鉛筆、ハンカチ、ティッシュなど。
「明日の準備できた?」
寝る前に娘と一緒に確認します。
もし朝になって、
「あ!鉛筆削ってない!」
「ハンカチどこ?」
となれば、それだけでバタバタしてしまいます。
準備するものが多い朝だからこそ、前日にできることは済ませておく。
わが家では、これがかなり大切でした。
朝は天気予報を見て最終確認
朝の私には、もう一つの役割があります。
それは、お天気キャスターです。
「今日の天気予報です! 午後から雨が降るかもしれません!」
スマホの天気予報を見ながら、娘に伝えます。
すると、
「えー、じゃあ傘持っていこうかな」
と、娘も考えます。
ここで私が意識したいのは、ただ傘を渡すことではありません。
天気を知って、必要な持ち物を考えてみることです。
もちろん、まだ小学生。
最終確認は親も一緒に行います。
でも、少しずつ自分で判断できることが増えてくれれば嬉しいですね。
工夫⑤ 早く準備が終わったら「自由時間」
そして、わが家で特に効果を感じたのが、準備が終わった後の自由時間です。
朝ごはん、歯磨き、着替え、学校の持ち物。
これらが全部終わって、集合時間まで余裕ができたら、
「お!今日は15分前に準備終わったね!」
「じゃあ、出発までテレビかゲームをしていいよ!」
すると娘は、
「やったー!」
大喜びです。
ソファに座って、好きなアニメを見たり、ゲームをしたり。
朝の準備が早く終わった分、自分の好きなことができる。
このルールを取り入れてから、わが家では以前より準備がスムーズに進むように感じました。
それまでは「早く準備しなさい」と言われるばかり。
でも、今度は準備が終わった後の楽しみがあります。
私も怒る回数を減らしたいですし、娘にも気持ちよく学校へ向かってほしい。
その両方を考えた工夫でした。
テレビやゲームが逆効果になる場合も
ただし、この方法には注意点もあります。
出発直前までテレビやゲームをすると、今度はやめるのが難しくなるかもしれません。
家庭によっては、自由時間を読書やお絵描きにする方が合う場合もあります。
大切なのは、遊びをやめる時間も含めて、親子でルールを決めておくことだと思います。
好きなことをする時間を作るために、急いで食事を済ませたり、歯磨きを雑にしたりしないようにも気をつけたいですね。
理学療法士パパとして振り返ると、共通点は「選びやすさ」
ここまでの工夫を振り返ってみると、一つの共通点がありました。
それは、娘が何をするか、自分で決めやすくしたことです。
- 起床:お父さん特急か、お母さん特急か
- 朝食:ごはんか、パンか
- 着替え:3つの服から選ぶ
- 持ち物:天気を見て考える
- 自由時間:準備が終わった後の楽しみを選ぶ
最初の私は、娘が準備しないことばかり気にしていました。
でも、朝は意外と考えることが多い時間です。
起きる、食べる、着替える、持ち物を確認する。
これらの行動には、次に何をするかを考えたり、今していることから別の行動へ切り替えたりすることが関わります。
理学療法士として考えると、身体の動きだけでなく、注意や行動の切り替えといった面にも目を向けられます。
ただし、娘の準備が遅かった理由が注意や認知の問題だったと判断できるわけではありません。
眠い日もあれば、服を選ぶことが楽しい日もあるでしょう。
だからこそ、子ども自身を変えようとするだけでなく、次に何をするか分かりやすい環境を作ることも大切なのではないかと感じました。
それでも朝起きられないなら、睡眠時間も確認したい
ここまで紹介した工夫は、どれも朝の行動を少しスムーズにするためのものです。
しかし、そもそも睡眠時間が足りなければ、朝起きること自体がつらくなります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9〜12時間の睡眠時間を参考に確保することが勧められています。
また、朝に太陽の光を浴びること、朝食をとること、夜更かしを習慣化させないことも推奨されています。
もちろん、必要な睡眠時間には個人差があります。
「まだ起きたくないー」
そんな言葉が続く場合には、声のかけ方だけでなく、前日の就寝時刻や睡眠の状態も確認してみたいところです。
特急列車作戦も、十分な睡眠の代わりになるものではありません。
次の目標は「水筒の準備」を自分でできること
朝の準備が以前よりスムーズになったと感じるわが家ですが、まだ私が担当していることがあります。
それが、水筒の準備です。
麦茶を用意して、氷を入れて、水筒カバーをセット。
最後にランドセルの横へ置きます。
「パパ、水筒に氷入れてー!」
娘からそんな声が聞こえることも。
いつか自分で準備できるようになってくれたら嬉しいな。
そう思いながらも、今はまだ私が担当しています。
全部を一度に任せる必要はありません。
まずは水筒を自分で持ってくることからでもよさそうです。
自立も、朝の準備も、少しずつ。
熱いお茶や重い容器など、安全面に注意しながら、娘の成長に合わせて任せることを増やしていきたいです。
まとめ|朝の準備は「早くして」より親子で工夫
小学校に入学した頃、毎朝の準備はわが家にとって大きな悩みでした。
「早く起きて!」
「早く着替えて!」
何度も繰り返して、親も子どもも疲れてしまう。
でも、娘と一緒に工夫してみると、少しずつ朝の雰囲気が変わってきました。
特急列車で起きて、朝食を選び、服を選ぶ。
前日の夜に学校の準備をして、余裕ができれば好きなことを楽しむ。
どれも特別な方法ではありません。
それでも、親が全部を決めるのではなく、娘が自分で選べる場面を作ったことには意味があったように感じます。
もちろん、今でも準備が進まない朝はあります。
親も子どもも、毎日完璧にはできません。
それでも、朝から怒って送り出すより、
「いってらっしゃい!」
と笑顔で見送れる日を少しずつ増やしていきたいですね。


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