「学校、行きたくない……」
小学1年生になった娘から、朝、こんな言葉が出ることがありました。
小学校に入学すると、子どもの生活は大きく変わります。
朝は早く起きなければいけないし、ランドセルを背負って学校まで歩く。授業や友達との関係など、慣れないこともたくさんあります。
親としては、元気に学校へ行ってほしい。
でも、娘が「行きたくない」と言うたびに、どう声をかけたらよいのか迷いました。
今回は、そんなわが家が小学1年生の頃に試した朝の工夫と、現在も続いている習慣を紹介します。
先にお伝えすると、わが家で一番大きかったのは、友達と一緒に登校することでした。
そして、最初は役立っていたボール投げも、現在はしていません。
子どもの成長とともに、必要な工夫も少しずつ変わっていくのだと感じています。
小学校入学後、朝の生活が思った以上に大変だった
小学校に入学すると、朝の準備がこれまで以上に重要になりました。
起床、朝ごはん、着替え、持ち物の確認。
そして、決められた時間に家を出る。
親にとっては当たり前の流れでも、小学1年生の娘には負担に感じる日があったのかもしれません。
特に困ったのが、朝の目覚めです。
最初は「起きたらすぐ朝ごはんを食べよう」と考えていました。
ところが、寝起きの娘はなかなか動き出せません。
「早く準備を進めてほしい」
そんな親の気持ちとは裏腹に、朝の支度は思うように進みませんでした。
そこで私は、朝の始まり方を少し変えてみることにしました。
朝の目覚めを楽しくするため、親子でボール投げを始めた
年長の後半から始めたのが、朝のキャッチボールです。
といっても、本格的な運動ではありません。
パジャマのまま、リビングで柔らかいボールを10回ほど投げ合うだけ。
私は娘に声をかけました。
「さあ、今日も10回ノーミスでいけるかな?」
すると娘は、
「今日も頑張るー!」
眠そうだった娘も、ボールを投げたり受け取ったりするうちに、少しずつ活動的になっていきました。
ボール投げで大切にしたのは、運動能力よりも楽しさ
理学療法士として考えると、ボールを投げたり受け取ったりする動きには、目でボールを追う、手を動かす、タイミングを合わせるといった要素があります。
ただし、朝のキャッチボールによって脳が特別に活性化し、目覚めがよくなると断定できるわけではありません。
わが家で感じたのは、もっと単純なことでした。
「起きなさい」と言われるより、「パパとボールで遊ぼう」の方が、娘にとって朝を始めやすかったのかもしれません。
朝から親子で少し笑える。
それだけでも、わが家には意味のある時間でした。
もちろん、眠気が強い日や時間のない日に無理に運動させる必要はありません。ボールを使う場合は、周囲に危険な物がない場所で、軽く柔らかい物を使います。
一番効果を感じたのは「友達と一緒に学校へ行く」こと
ボール投げも役立っていましたが、わが家にとって、さらに大きな変化がありました。
それが、近所の同級生と一緒に登校するようになったことです。
毎朝、決められた時間に待ち合わせをして、友達と学校へ向かう。
これが娘の登校を支える習慣になりました。
「友達が待っている」が朝の行動につながった
朝の準備がゆっくり進んでいるとき、私は娘に声をかけることがありました。
「〇〇ちゃん、もう待ち合わせ場所に来てるかもよ?」
すると娘は、
「待たせないように急いで出るー!」
それまでゆっくりだった準備が、急に進み始めることもありました。
最初は、友達を待たせたくないという気持ちが大きいのかな、と考えていました。
でも、今振り返ると、それだけではなかったのかもしれません。
娘にとっては、学校へ行くという目的だけでなく、「友達と一緒に歩く」という楽しみや安心感があったのではないでしょうか。
「学校に行かなければいけない」から、「友達と一緒に行こう」へ。
わが家では、この変化が大きかったと感じています。
ただし、友達を待たせることを理由にプレッシャーをかけすぎないようにしたいところです。お互いの家庭で、欠席や遅れる場合の連絡方法も決めておくと安心です。
「学校に行きたくない」と言われた日、わが家で試したこと
朝の習慣ができても、毎日順調だったわけではありません。
月曜日や雨の日などに、
「今日は学校に行きたくない……」
そんな言葉が出ることもありました。
親としては困ります。
仕事の時間もあるし、学校にも間に合ってほしい。
でも、娘にも娘なりの気持ちがあります。
そこで、わが家ではいくつかの関わり方を試しました。
① まずは気持ちを受け止める
学校に行きたくないと言われたとき、最初から理由を問い詰めるのではなく、娘の気持ちを受け止めるようにしました。
「寂しいんだね」
「まだ眠いよね」
そして、娘が嫌がらなければ、ギュッと抱きしめます。
すると、
「ちょっと落ち着いた。準備するね」
と、少し気持ちを切り替えられることもありました。
もちろん、抱きしめれば必ず解決するわけではありません。
大切なのは、学校に行くかどうかを急いで決める前に、娘が何を感じているのかに目を向けることだと思います。
② 「学校まで全部」ではなく、小さな目標を提案する
娘が学校へ行きたがらないとき、こんな声をかけたこともあります。
「今日はパパも一緒に、あの信号まで歩こうか?」
すると娘は、
「パパも来るなら、行こうかな」
最初から学校までの長い道のりを考えるのではなく、まずはパパと一緒に少し歩いてみる。
わが家では、そんな小さな目標が娘の気持ちを軽くすることがありました。
ただし、本人の気持ちを確かめながら進めることが前提です。
途中で不安が強くなったときには、無理に送り出さず、その日の対応を学校とも相談する必要があります。

③ 帰宅後の楽しみを一緒に決める
「学校から帰ってきたら、一緒にゲームをしようか?」
と声をかけたこともあります。
すると娘は、
「じゃあ今日のゲームはマイクラね!」
と、楽しそうに答えました。
学校から帰った後に、親子で楽しめる予定がある。
それが、娘にとって少し先の楽しみになっていたようです。
ただし、学校へ行ったらご褒美、行かなければ何もなし、という条件にはしないようにしたいと思います。
学校で嫌なことがあったり、体調が悪かったりする場合まで、楽しみを理由に我慢させるべきではないからです。
④ 週末の予定も一緒に考える
「今週の土曜日、あの公園に行ってみる?」
と話すこともありました。
娘から返ってきたのは、
「土曜日、公園で自転車乗るー!」
という言葉。
カレンダーを見ながら、週末の楽しみを一緒に考える。
そんな時間も、わが家では気持ちを切り替えるきっかけになりました。
理学療法士パパとして気づいた「小さな目標」と「褒めること」の大切さ
娘との経験を振り返っていると、仕事で行っているリハビリの考え方と重なる部分がありました。
理学療法士は、患者さんが目標に向かって取り組むとき、いきなり最終的なゴールだけを求めるわけではありません。
例えば、歩くことが難しい患者さんの場合。
状態に応じて、まず立つこと、短い距離を歩くこと、少しずつ距離を伸ばすことなど、目標を分けて考えます。
小さな目標を積み重ねながら、その人に合った方法を探していく。
娘への関わり方にも、似た考え方がありました。
「学校に行けた」だけが褒めるポイントではない
「学校まで歩けたね」
「自分で準備できたね」
「今日は気持ちを教えてくれたね」
私は、結果だけではなく、その途中で娘ができたことにも目を向けたいと思いました。
リハビリでも、目標に向かう過程の頑張りや変化を認めることを大切にしています。
ただし、子どもの登校しぶりは、リハビリと同じように考えれば解決する問題ではありません。
学校生活の不安、友達関係、学習面の困りごとなど、さまざまな背景があり得ます。
それでも、父親として今回感じたのは、
「もっと頑張って」よりも、「どこまでならできそう?」と考える方が、娘に合っている場面もあった
ということです。
そして、娘ができたことを一緒に喜ぶ。
それが、私自身の関わり方を見直すきっかけにもなりました。
登校しぶりを振り返って気づいた、睡眠と疲れのこと
もう一つ、気になったことがあります。
娘が「学校に行きたくない」と言う日を振り返ると、前日の就寝が遅かったり、疲れがたまっていたりするように感じることがありました。
小学校生活では、授業、友達との関わり、登下校など、さまざまな活動があります。
新しい環境に慣れるまでは、心も体も疲れることがあるのでしょう。
そこで、わが家では睡眠も大切にするようにしました。
- 20時頃から寝る準備を進める
- 寝る前のテレビやスマートフォンを控える
- 朝の起床時間から逆算して、必要な睡眠時間を確保する
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9〜12時間を参考に睡眠時間を確保することが推奨されています。
もちろん、必要な睡眠時間には個人差があります。
また、登校しぶりが睡眠不足だけで起きるわけではありません。
わが家でも、睡眠を見直したことと登校しぶりが減ったことの因果関係は分かりません。
ただ、疲れている日にまで頑張ることを求めるのではなく、しっかり休めているかを考えるようになったことは、大切な変化でした。
現在はボール投げを卒業。でも、友達との登校は続いている
小学1年生の頃に始めた朝のボール投げ。
実は、現在はもうしていません。
朝の生活に慣れてきたこともあり、以前のようにボール遊びを取り入れる必要がなくなりました。
そして、「学校に行きたくない」という言葉も、1年生の頃と比べて減っています。
もちろん、これは今回紹介した工夫だけの効果とは限りません。
学校生活に慣れたことや、娘自身の成長も関係しているのだと思います。
一方で、今でも続いている習慣があります。
それが、友達と一緒に登校することです。
ボール投げや声かけなど、いろいろな方法を試してきました。
でも、わが家にとって最も大きかったのは、やはり友達の存在でした。
一人で学校へ向かうのではなく、誰かと一緒に歩く。
その安心感や楽しみが、娘を支えてくれているのかもしれません。
最初に必要だった工夫が、ずっと必要とは限らない。
今では、そんなことも感じています。
お子さんが「学校に行きたくない」と言ったら、家庭で試す前に
今回紹介した方法は、あくまでわが家の実体験です。
どのお子さんにも同じ方法が合うとは限りません。
まずは、次のような点を大切にしたいと思います。
- 気持ちを確認する: 眠い、疲れた、不安など、子どもの言葉を否定せずに聞く。
- 小さな目標を考える: 本人が望む場合に、準備だけ、一緒に少し歩くなど、無理のない方法を考える。
- できたことを認める: 登校できた結果だけでなく、気持ちを伝えたことも大切にする。
- 安全を優先する: 友達との待ち合わせや付き添いでは、通学路と学校のルールを確認する。
- 休息も確認する: 睡眠時間だけでなく、疲労や体調の変化にも目を向ける。
特に注意したいのは、「行きたくない」という言葉の背景です。
いじめ、友達とのトラブル、学習面の不安、体調不良などが隠れている可能性もあります。
強い不安や腹痛・頭痛などが続く場合、子どもが学校での出来事を怖がっている場合は、登校を急がせず、担任の先生やスクールカウンセラーなどに相談することも大切です。
文部科学省も、不登校支援では登校という結果だけを目標にせず、一人ひとりの状況に応じた支援が必要だとしています。
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まとめ|学校へ行くことだけでなく、娘の気持ちにも目を向けたい
小学1年生の頃、わが家でも朝の準備や登校しぶりに悩むことがありました。
朝のボール投げをしてみたり、パパが途中まで一緒に歩いてみたり。
帰宅後の楽しみを考えたり、生活リズムを見直したり。
いろいろな工夫を試しました。
その中で、娘に一番合っていたと感じたのが、友達と一緒に登校することです。
現在は朝のボール投げをしなくなり、学校に行きたくないと言う回数も以前より減っています。
もちろん、子どもが成長すれば、また違う悩みが出てくるかもしれません。
そんなときも、すぐに正解を決めるのではなく、まず娘の気持ちを聞いて、一緒に考えていきたいと思っています。
理学療法士として、小さな目標を積み重ねることの大切さは知っているつもりでした。
でも、その考え方を自分の子育てに活かすのは、なかなか難しいものですね。
「行きたくない」が減ったことも嬉しいですが、娘が困ったときに、また私たちに話してくれる関係を大切にしたい。
今回の経験から、私はそう感じています。
皆さんのご家庭では、お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、どのように接していますか?


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